回転舞台

回る舞台で恋をした song by Ataru Nakamura

宙組『オーシャンズ11』感想2 キキラスティー

ラスティー・ライアン 芹香 斗亜

キキちゃんラスティーよかった~~!!

想像はしてたけど超えてた。むしろ意外性があったぐらい。

なんとなくキキちゃんのラスティーは「ダニーの良いお友達」的な役作りかな~と思ってたの。アーネストインラブのアルジーとか、まあちょっと違うけど源氏の惟光とか?そういう感じのニコニコして主役のお傍にいる、みたいな。

そしたらしっかりキャラ立ってた~。いわゆるチャラ男?で色男。イケメン。オシャレで優男風で、なんならちょっと中性的なの。それがすごく新鮮だった。

私は蘭寿さんから宝塚にハマって、今もタイプとしてはあきらかに「男くさい男役」が好きなんだけど、キキのラスティーはなんならいっそちょっと女っぽいの。でもそれが、男役に対する「まだまだ女の子っぽい」って意味じゃなく、すごいイケメンですごいモテる人に感じる中性要素みたいな。むちゃくちゃにおしゃれな男ってちょっと女性っぽいとこあるじゃん。

そう、若い頃の山Pとか松潤とかみたいな。なんなら亀梨和也も。今なら韓流アイドルの子とか?あと誰だ分かりやすいとこだと菅田将暉とか吉沢亮とか?そういうかっこよくて人気のイケメンて得てして線が細くてちょっと女顔で中性的じゃん。でオシャレ。そういう感じ。

これを宝塚の男役としてやれちゃうのか~~って思った。すごい。相反するところだと思ってた部分があったので。

それもこれも芹香さんが10年目を過ぎたからこそ出来ることなんだろうな~。男役とは、男らしい仕草とは、って10年考えに考えてきたからこそ今できること。

それから衣装と小道具による演出ももちろん役を作ってる。今回のキキラスティーが着てるピンクのスーツ、あれはTwitterなんか見てると好みが別れるみたいだけど、私はあれはあれでいいな~と思う派。色味はもちろん、あのてらてらっとした感じ、あれがやっぱラスティーなんだな~。あんなの現実の男性は着ないもの。(笑)

エル・チョクロでブルーザー達と対峙するくだりでジャケットを脱ぐとほっっそいんだけど、それがまたいいんだ。いるじゃんほっっそいイケメンて。もっとガタイよく補正しようと思えばいくらでも出来ただろうけどあえてなんだろうから役の演出の一部だよね。

は~なんかやっぱり今回のラスティージャニーズっぽさある~~。ジャニオタとしてガリガリの10代の男の子達を追いかけてた身としてはも~刺さるわ。好き。

衣装は上述のピンクのスーツもいいし、リビングストンのとこに行く時のトレンチもいい。あれ何がいいってオッッシャレなストール巻いてんのブルー系の。しかも光沢のあるやつ!それをひらひらさせながら銀橋に出てきた時のかっこよさときたら。

そのあとの衣装のときはポケットチーフを出したりしまったり、それからオーシャンズ10のナンバーの時はタバコに火をつけて吸ったり、今回は小道具がとにかく多い~。でもそれを器用に扱うとまたおしゃれっぽさが上がるしね。どんどん洗練されてくと思うと楽しみ。

そして極めつけが指輪と爪ヤスリ~~。いくつもしてる指輪を触る、眺める、息を吐きかけて磨く、も~~~ずっといじいじしてる。宝塚の男役だから許すやつ。(笑)
そして小池先生が( ゚д゚)ハッ!と思いついたらしい爪ヤスリ。手の綺麗な男はモテるからね~~。

楽しみにしてたポーラとの絡み、花組のみっちゃんラスティーはいいやつそうでポーラちゃんのこと大切に思ってそうだったけど、キキラスティーは…(笑) もちろんモテ男は目の前の女性に真剣なのでポーラのことをきちんと想ってるだろうけど、それは今現在の相手がたまたまポーラだったという事実にすぎない感じがしたなー。

花組のとき、特にじゅりあポーラとみっちゃんラスティーはすごくミーアンドマイガール感があったのよな~。出会うべくして出会ったカップルっぽくて、ああここにも運命のペアがいたんだな、宝塚だな~って思ってたんだけど。奥様ポーカー教室もあくまでビジネスかなって。

今回のラスティーはもっと軽薄なのでたまたま知り合ったポーラとはかわいいし良い子なのでとりあえず付き合ってるし、奥様ポーカー教室は楽しくって仕方がない…というふうに見える。ふふ。でも最後にリカルドにお金を渡しちゃうくらいポーラにはしっかり入れあげてるんだけどね。そんなところがまたかわいい。

今回のキキラスティーがこういう振り切れた役作りでしっかりと存在感があるのは、やっぱり真風ダニーがしっかりがっつりと男性性らしいかっこよさがあるからだろうなあと思わされました。ダニーがいなかったらただの「女っぽい男役」だったかもしれないところを、真風ダニーがしっかりと芯のある男性的なかっこよさを押し出してくれるから、雰囲気の異なる別路線の、でもちゃんと男性として存在できる。

そう考えるとまかキキには可能性しか感じないぞ。

ラスティーはダニーの良き相棒だけれどただのんべんだらりと2人でつるんでいたわけでなはなく、今回の目的のためにダニーの元に集まった出来る男。あくまでも「ダニーがキングでラスティーがジョーカー」、すなわち切り札として、とても魅力的に作りこまれてた。

オーシャンズ10という新しいナンバーをはじめとしてこれまで2回の上演より少しラスティーの比重が上がってるけど、それに応える個性的でかっこいいラスティーでした。