回転舞台

回る舞台で恋をした song by Ataru Nakamura

花組公演 『ハンナのお花屋さん —Hanna’s Florist—』観劇感想 2

2: ファッションショーなお花屋さん

 

半年前の私のようにハンナのお花屋さんを買い控えて?いた方がいたら、みりおちゃんで現代ものが見られる幸運を噛み締めてぜひ見に行くべき。

わたしにとってみりおちゃんはそんなに心に引っかかるスターではないですが、それでもあの姿形を持っている男役明日海りおが、現代っぽいとまで言うと大げさなのでニュアンスとしては“フツーの”メンズのお洋服を着て舞台に立ってる姿を生で見られるインパクトすごいぞ。

花屋の店長のファッションショーかな?ぐらい着替えるみりおちゃん。

わたしは2幕のカウチンが好きだなー。

男役が、というよりタカラジェンヌが普通のセーターじゃなくてカウチンセーター着てるのって新鮮。

 

なんつーか男役の体形に関して、首や肩辺りの骨格の話とか膝下長いねとかそんな話はもちろん大好物なんですが、腰回りがどうとか骨盤がどうとかあまり言いたくない。努力でどうにもならない部分だからけなすのも褒めるのも気が進まない。

でもみりおちゃん本人は武器だと思っているだろうから勇気を出してここであえて言う。

 

ハンナのお花屋さんはスキニーパンツを履いて男役として成立するみりおちゃんのお尻のおかげで演れている公演だと思います!!!!!

 

神様ありがとう。

全ての巡り合わせにありがとう。

私は奇跡を目撃したようだ。

 

みりおちゃん以外だと花屋メンバーはもちろんおしゃれで個性があってかわいい。

新人2人が極度にあか抜けないのも演出の意味でいっそ良し。

劇中季節が移ろうのだけれども、出てくるイベント(ハロウィンやクリスマス)からだけでなくお洋服が季節を見せてるのが楽しい。

Twitterにも書いた気がするけどイチ押しは綺城ひか理ちゃんのハイネックのセーターです。

黒で糸が太そうで、防寒重視でモッコモコ着てる感じがかわいいんだな~。

 

あとは音くりちゃんの衣装は街にいそうなリアルなおしゃれ感。

そして言わずもがなの花野じゅりあ様。じゅっちゃんお稽古場で着てるのもおしゃれだったな。

好きなのは白姫あかりちゃんの白い衣装かなー。

 

みりおちゃんのお父さん役であるおキキさんに関してはおめかし時以外ほとんどリネンぽい夏っぽいアイボリーのベストとスラックスで着たきりですが、その衣装がまあ大変お似合いで。

ジェラルドぐらいノーブルだけど、ジェラルドよりぐっと聡明な感じが良い。

聡明...だと思ってるとギリギリしたくなるシーンもありましたがそこはネタバレ有と明記して感想書かなきゃな~。

 

そして注目のハンナ役舞空瞳ちゃん。

ハンナという役は一言で言うなら肩書が村娘で属性が不思議ちゃんな子なんですが、これまたぴったりなスカート履いてるんだなあ。

一見白なんだけどよく見るとピンクの布と貼り合わせるみたいにしてあって、村娘の針仕事感とかわいい不思議ちゃんにのみ許されるふんわりスカート感が絶妙。

 

そしてそして今回たまらんかったのが乙羽映見ちゃんのパンツルックである。

快活でキュートで色っぽくて頼れておしゃれで良い役。

あきらとのカップルがむちゃくちゃかわいいのだ。

もちろんあきらはスーツ。

似合うとかわざわざ言及しませんよ。

 

あと収穫は更紗那知ちゃんのスーツスタイル。

スーツの似合う娘役っていいよね~~~。

紺や黒のシンプルなスーツにボブでシンプルなんだけどよく似合ってる。

そしてアクセントはダンサーらしいおみ足。

 

衣装だけぼーっと眺めてても十分楽しめそうな公演だわ。

フィナーレでひっくり返ってしまいそうではあるが。

 

花組公演 『ハンナのお花屋さん —Hanna’s Florist—』観劇感想 1

1: パラダイスプリンスなお花屋さん 

 

『ハンナのお花屋さん —Hanna’s Florist—』を観てきました!
といっても実際の観劇は初日の次の日のマチソワだったのでもう2週間くらい経過してしまってます。
また近々観られるのでせっかくだからそれまでに初見の感想をちゃんと残しておこうと...
しかしあれですね、久々にマチソワなんてしたらなんかどっと体力もってかれたわー。
ハンナのお花屋さんという公演の内容によるものってのはあるとはいえ。
これ毎回してる百戦錬磨の皆さますごい。

 

さて感想!
まず今回私は言っちゃ悪いのですがすごくすごくハードルを下げておりました。
現代もの?しかもACTシアターでしかやらない??
それでもって景子先生で題材は花屋?なになに舞台はデンマーク
地雷?絵本?
あぁ~...なるほど~...
みたいな感じでした。
つまるところ「私の趣味じゃないだろうな」と思っていた。
「ほんわかハートウォーミング方面、現代ものゆえのリアルで重苦しいストーリー、どちらに転んでも好みじゃないだろう」と思ってた。

 

そうこうしてるうちにキキちゃんの組替えが発表され、衝撃から立ち直るため心が「ハハッ組替え商法ですか???」というようなヤケを起こし、
じゃあ回数見たるわ!!花組最後だし!!!お芝居が苦手な感じでもオリジナルだからフィナーレはあるだろ!!!
それに景子先生ならきっと衣装はきれい!!!!!
10分のフィナーレに8,000円払うよ私そういうタイプのヅカオタだからな!!!

ぐらいのテンションでした。
それを前提にして言うのなら...
結構おもしろかった。

まず演出家植田景子について。
私最近の景子先生の小劇場作品は全く見ていなくて。
観劇もしてなければ映像でも見られてない。
オネーギンとか双頭の鷲あたり評判よかったからそのうち見たいなとは思いつつ。
逆に大劇場のは私が宝塚をちゃんと見始めた2009年頃からはロスグロ以外全部見てて、
そのうえであまり好みでなかった...のよね。
だからそのイメージで凝り固まってて景子先生の作風は好みじゃない、と思ってたのですが。
今回ハンナのお花屋さんを観劇して大事な作品を思い出しました。
パラプリだこれ。
そうだそうだ、景子先生で現代ものっつったらパラプリじゃん!と、花屋で働くメンバー達のやり取りを見て思い出した。

 

宙組公演『Paradise Prince』、まだ本格的にヅカオタになる前に見た作品だけど印象深かったのか、
2009年『薔薇に降る雨』/『Amour それは・・・』で蘭寿さんにハマった時に同行者の母に
「あの男爵の人は前に薔薇をくわえて踊ってた人?」
「あのピンクの衣装で手話してた人は前の公演で薔薇をくわえてキザに前髪を一筋下ろしてた人??」
なんて質問攻めにしておりました。
蘭寿さんファンになってから何回もDVD見たなー懐かしい。

 

あったわ。景子先生で好きなのあった。パラプリあったわ。
と客席で納得する私。
パラプリも「いや漫画かよwwwねーよwwwwあほかwwこれだから宝塚はwwwご都合主義かww平和ねwww」と笑い飛ばしたくなる部分がありつつ、
それでもなんだか登場人物みんなが愛おしく、みんなどうかどうか幸せになってね...!と願いたくなるような話じゃないですか。
ハンナのお花屋さんもそんな感じでした。

 

なんていうか現代社会の怖いところ、きれいごとではいかないところと、

宝塚世界の優しさみたいなものが良い具合に補い合ってた、みたいなイメージ。

宝塚らしくもありらしくなくもあり、その辺りのバランス感覚がいい感じでした。

 

花組公演『MY HERO』って結構良作だったよね :歌の話

芹香斗亜主演、花組公演『MY HERO』のDVDが来る8/24に発売されますよー!!

 

shop.tca-pictures.net

音源は先行して出てる。

www.tca-pictures.net

 

※8/7発売のつもりでじわじわ下書きを進めていたら発売延期が発表されていた!!楽しみにしてたのになんてこった!!


音源聞きながらああこの公演結構好きだったよなあ...
久々のキキちゃん主演で演目が出たときはどうなることかと思ったけど結構好きだったなあ...
などと思い出して、あの頃は忙しくてとても余裕が無かったので今こそ感想を残そうと思い至りました。

 

今思い出す『MY HERO』の好きなところ:

  • 歌!!!!!
  • キキちゃんのビジュアル
  • ヒロインが絶妙にウザくない
  • ちなっちゃんのお兄ちゃんぷり
  • 新ジャンルとの絶妙な融合
  • 深読みしたけりゃいくらでも深読みして思いを馳せられる内容


蘭寿さん式にビックリマークを多用してみるぐらいこの公演の歌が好き。
特撮の話のためビジュアルがものすごいけどちゃんと音楽劇。
好きな歌をつらつら上げてみます。

 

『ここから始めよう』

芹香斗亜演じるノアと、朝月希和演じるクロエちゃんのデュエット。
(その後鳳月杏演じるテリー、音くり寿演じるマイラともリプライズでデュエットする)
この曲が3拍子なんだよ。そこがまず好き。

2人で色々頑張ったあと、少し腰掛けて軽い身の上話をしながら「過去のことはいいじゃん、ここから始めよう」って歌。
これが何ていうか宝塚のヒーロー&ヒロインのデュエットとしてはなんか新鮮で。
まぁひらめちゃんのクロエちゃんとおとくりちゃんのマイラちゃんどっちが正ヒロインか?って問題がまずあるんだけどそこは置いておくとして。

ノアが「脇目振らずに走り続けた 気が付けば日も暮れ始めて 人は皆家路に急ぎ足 俺だけが佇む」って歌うと、
クロエが「寄り道ばかりの人生 手あたり次第に買いあさったけど 残ったものは何もない 空っぽの私」って繋ぐ。
2人とも、過去に栄光があった人達で、でも今行き詰まってて。
そんな2人が俺辛かった、私も辛かったよって傷をなめあうような歌。
歌の最中に互いに話しかけるような台詞があって、歌なんだけどアメリカンミュージカル的な大ナンバーではなくてあくまでお芝居の中の一部という感じ。

ゆったりとした3拍子の曲調が郷愁を誘うというか、観劇しながらつい自分の過去のことを思い出したくなるというか。
色んな感情が呼び起こされる音楽とシーンだったなあ。

テリーとマイラの歌詞も良いんだ。
大体において私はリプライズで同じ曲を色んな人が歌うってのが大好きなのだ。
しかもしかもしかも、この3拍子の曲をフィナーレでは4拍子で歌う。
たまらん。ほんとたまらん。
同じ曲を3拍子と4拍子でアレンジするのも大好きなの。
サイトー先生と握手したい。

作曲の先生がどなたか今調べたけれども手島恭子先生とな。
なんでか勝手に吉田優子先生か青木朝子先生かと思っていた...。
しかも「手島先生、あああの曲の!」ってパッと浮かばないのが悔しい。
時間のあるとき色々見返してみよう。

 

『誰かのヒーロー』

マイラがノアを「崖っぷちのヒーロー」、ノアはマイラを「おてんばヒロイン」とからかいながら、
互いに「あなたに救われてる」と歌う、これまたしっとりした良いデュエット。
君も誰かにとってのヒーローなのかもしれない、っていうメッセージに泣かされた3月だった。
3月は仕事が繁忙期で、早出して残業してマイヒーロー見て早出して残業してマイヒーロー見て...みたいな感じで、
しんどかったけどキキちゃん率いる花組さんに救われてたなあ。

 どうでもいいんだけど、「崖っぷちなヒーロー」とマイラに言われたノアさんは「崖っぷち言うな!」って返すんですよね。

「崖っぷちって言うな!」ではなく「崖っぷち言うな!」なの。

何回か言っててすごく気になった。サイトー先生のこだわりかな。

 

『MY HOME』

義理のお母さんであるくみちゃんとのしっとりしたデュエット。

曲調はちょっと古臭いけど、主人公の青いところとそこからの成長、これまでの全てが詰まった曲。

MY HEROからのMY HOME、ヒーローにも帰る家がある。

その温かい事実を受け入れて主人公はまた大人になったのかもしれない。

 

『営業』

こういうミュージカルミュージカルした歌大好き。
失脚したスター・ノアさんを売り込むぞーー!という歌。
歌いながらどんどん場面が進んでいって楽しい。
途中出てくる綺城ひか理ちゃんや芽吹幸奈ちゃんのキャラの濃さがいい。
あかちゃん、ひらめちゃんを口説くんだけどそれが録音日はちょっと訛っててかわいいのw
くみちゃんは麗しい受付嬢。

あとはオープニングも好きだしテーマ曲も好きだし。

 

『Change! Justice!-正義の歌-』

特撮ど真ん中な歌。


主題歌『MY HERO』

手拍子していて楽しい。

書いてて思ったけど曲だけじゃなくて歌詞も全体に結構気に入ってたんだなあ。
サイトー先生にこんなに感動したの初めてかもしれないぞ。

 

『ミリオンサマー』

キキちゃんも大好きな文句無しの代表曲。
ちなっちゃんテリーの歌がどれもこれも古臭いのは少々辛いところ...(ノ∀`)
もちろん狙ってるんでしょうけども。
カサブランカ』のシュトラッサーのテーマ的な古さ。
でもまたそれを歌いこなすちなっちゃんがかっこいいんだ。

 

 キキちゃんの歌声素敵だな、そしてキキちゃんてどんな娘役とも相性がいいというか受け入れる包容力、振り幅があるのでは…?

と感じ始めたタイミングでこれだけデュエット曲を楽しめたのはありがたい。