回転舞台

回る舞台で恋をした song by Ataru Nakamura

『華やかなりし日々』1

さて、お芝居『華やかなりし日々』。

☆全体の感想

好き!かわいいお話で、好き嫌いで語るなら純粋に好き。

ストーリーのそこかしこに落ちているツッコミどころや、

DVDのカットが異常に多いという著作権への読みの甘さ問題等、

演出家の原田先生にいろいろ申し上げたいことはありますが、

それでも。

・・・まあ、後者はサヨナラ公演である以上なかなか許しがたいところですが、

素人目線で「原田先生自分のやりたいこととゆうひさんにやらせたいことを詰め込んでよく宙組の個性をまとめたな~」という感じ。

特別派手な調理法じゃないけど素材を理解してどうにか上手いことおいしくなった寄せ鍋みたいな。(失礼かな・・・)

正直、まさこが宙組にいたときって、ともちんとまさこの役の付け方がすごく難しそうだな、と思っていたのです。

キャラがかぶってるっていうわけじゃないんですけどねえ。

二人が二人とも中途半端な役付きになってしまうことで、

いまいち観劇後がさわやかでないというか。。。

それなので、さみしさはもちろんありますが、

まさこが星組に異動になったことで、

宙組の誇るツインタワーがそれぞれの場所でそれぞれのさらなる輝きを追い求めることができるようになったのではないかと。

そう思えました。

サヨナラの作品としては、正直ハードル上がってて先生かわいそう。

だって、正統派のサヨナラ作品なんてもう『クラシコ・イタリアーノ/NICE GUY!!』で出来あがっちゃってるんだものww

多くの観客が、前の作品でサヨナラ感を感じていたはず。

そこに、さらなるサヨナラ感を求められたら私だったらヤダw

それでも、逆に気負わず作れたのかもしれませんねえ。

それがこの作品の良くも悪くも気楽な部分を生んでいるのかな。

ロナウド・フィリップス 大空 祐飛

もう何も言うことはないでしょう!

私などが付け焼刃でペラペラと語るお人ではない!

と思いつつもちょこっと語る。

ほんっとーにかわいい方ですよねー。

今回、あまり役どころが渋い感じでなく、

よい意味でゆうひさんのおちゃめさを発揮できる感じ。

歌劇の藤井先生・斎藤先生との対談だったかな?

「私の本質には銀ちゃんがある」というふうに語ってらっしゃいましたが、

素直にそう思わされる感じ。

脚本にゆうひさんの意思が反映しているのかしていないのかはわかりませんが、

ずいぶん肩の力を抜いて、楽に演じている感じ。

私はこういうゆうひさんのほうがずっと好きだなあ。

というかおちゃめで気楽そうなのに男らしい、って、

ベテランにしかできないよね。

下級生のうちは、渋い役のほうがよっぽどやりやすいはず。

作りこむのと作りこみすぎず自然体でやるのでは、

後者が絶対難しい。

こういう形の男役の集大成もあるのだなと、なるほどゆうひさんの場合こういう風に自らをまとめ上げるのかと。

銀橋の「~たまえ」ソングがむちゃくちゃいい。

お芝居なのにショーみたいな雰囲気、詐欺師なのに陽気な曲とノリw

こういうギャップがすごくおもしろくて、トリップする感じ。

それがすごく宝塚的で。

冷静に見たらわけわかんないことやってるんだけど、

宝塚の男役が楽しんで丁寧にパフォーマンスすると、

こんな説得力のあるおもしろさを生んで、客の目をひきつける。

アニメかなにかのような、ぶっとんだ世界観のこういうシーンが入ると、

宝塚のお芝居らしくて好きだなあ。

それをきっちり仕上げてくるゆうひさんもさすが。

特に、「汝男に注意したまえ」だったかな?

そこでの銀橋からの指差し。

心の底から、う、うらやましいいいい!そこで指差されたい!!!!!と思いましたw

あいも変わらずどんなお衣装もよくお似合いになる。

ダブルのスーツとトレンチコート・・・

花組のトップと二番手が賞賛する衣装姿を両方とも見られて、

非常に幸せでした。

何度でも言おう、足長い!!小顔!!!!!

お芝居のラストはやられたなーと思いましたね。

どこかのインタビュー記事が出たときのゆうひさんファンのみなさんの反応を覚えてるけど、

我々は大空祐飛という、「良いうそつき」に騙されたままここまできたのだなと。

大空祐飛」という名を得た一人の男役が、

ロナウドと同じように過去や昔の名前を捨てる・・・までいかなくともすべてなげうって、

この宝塚という奇異な世界に体一つで飛び込んできた。

そして、己の心のままに突っ走ってきたのだと。

ロナウドがジュディに思いのたけを打ち明けるシーンでは、

やはりそういう風なオーバーラップを感じ、

涙腺がゆるみました。

タカラジェンヌらしく」「宝塚の男役らしく」在るということは、

どうしてもたくさんの嘘を付くこととニアリーイコールになるのだと思います。

それというのは、森絵都の『DIVE!!』で言うところの、

「選ばなかったもう一つ」をいくつもいくつも生み、それらに別れを告げる行為。

知季が体系維持のためにプリンのカラメルを諦めたように、

大空祐飛という人間も何かをたくさん諦めてきたはず。

そうして切り捨てて切り捨てて、ギリギリまでそぎ落とし、その状態で洗練されていくタイプの男役もいると思う。

しかし、私からするとゆうひさんは、手放した分、むしろそれ以上に貪欲に吸収していく。

捨てることを選ばないのでなく、捨てることを選んだ分失った分の補い方がわかる。

そんなバランス感覚に優れた男役。

ひじょーーーに抽象的なわかりにくい表現ですが・・・orz

なんかそういう感じがするのです。

ゆうひさんの中に見える、

生活感のなさと、人間らしさ、っていう相反する部分、

それなのにその境目が溶け合っているような、

そういう感じがいつも不思議で、

それが多くの人をひきつけてやまない理由なのではないかと思うのです。

そういった部分が、ロナウドの「詐欺師なのにおちゃめさん」な部分や、

「冷酷な仕事をしているはずなのに人情味のある人柄」にうまく作用して、

なんとも魅力的な役に仕上がっておりました。

いったんここまで。