回転舞台

回る舞台で恋をした song by Ataru Nakamura

月組全国ツアー公演『激情/Apasionado(アパショナード)!!Ⅲ』@新潟県民会館 を観た。3

☆珠城 りょう as ドン・ホセ

かっこよかったー!

型通りただかっこよかったっていうんでなく、しっかりと役を生きているというか、

生命が感じられるようなかっこよさ。

もちろんホセが魅力的な役だというのはありますが。

男臭くて骨太でありながら青くて、カルメンが言う通り「まっすぐすぎる」感じ。

カルメンにすぐほだされるところは見てて笑っちゃうぐらい。

もーバカなんだもんホセ。

これだから男は...でもカルメン相手ならしょうがないか...

などと言いながら感情移入しちゃうのが激情。

ホセ像としてはずんこさん(姿月あさと)やちえちゃん(柚希礼音)よりやっぱりちょっと幼く感じる。

ちえちゃんはどうだったかちょっと記憶が薄いけども、

映像で繰り返し見たずんこさんホセはもう少しニヤニヤを抑えていたような気がするのよなー。

もちろん映像は映像だけれども。

たまきちは「祭りで見かけたときいい男だと思って花をあげたのよ」のあたりでもう、

ニヤニヤというかむしろニコニコして、カルメンにもう心を預けちゃったような顔をしてる。

まだなんていうか、心が支配される怖さを知らないんだろうなあ...これから知るんだろうなあ...かわいい。

そして大きな違いはやっっっさしい。

生真面目だけど頑固一徹みたいな感じでなく、やっぱちょっと現代的に優しい。

捕まったホセにカルメンが会いに来たところ、

「なんて危ない真似をするんだ、こんなところに来てはいけない」みたいなことをカルメンに言うんだよね。

そこがずんこさんはセリフの調子もあってか、わりと怒鳴りつけるような感じ。

女が何やってるんだ、規則は守れ、っていう、

ちょっと古臭い男性像だけどそのぶっきらぼうなところが萌える感じ。

それがたまきちは妹を気に掛けるみたいな...(笑)

隠し切れないたまきちの良いお兄ちゃん感。

『小さな花がひらいた』で蘭寿さんが茂次さんを演じたとき、

柴田先生の演技指導に「こんなに語気荒く女性を怒鳴りつけるのは...」というような抵抗があったとお話ししてましたよね。

その後それが当時の江戸っ子の価値観、男女の関係性であったのだから、

今だと荒っぽく感じるけれどもそれがかっこいいのだと理解されて演じた、というような。

記憶がアレなので間違ってたらすいません。

そんなような現代性を感じました。

あくまでお芝居なのでその辺の時代背景やキャラクターへの理解を深めるためにも

優しく心配するんでなくもっと怒ってほしい。

...などと言いつつ単にぶっきらぼう萌え。

ま、ホセの場合あそこですげー怒ってもカルメンにあしらわれるし、

その後会いに来た時のかわいさが勝っちゃうけれども(笑)

怒鳴りつけられたい心配されて怒られたいなんて、

ほんと「ただしイケメンに限る」、むしろ「ただしイケメン男役に限る」っていう感じで

そこをよくよく考えてみると、古い時代の古く感じる人間関係を描くには、

宝塚ってなんでもできる“ツール”たりえるんじゃないだろうかなんて思ったりもした。

お兄ちゃんと妹といえばちゃぴとは予科本科でしかも当時は男役同士だったわけだよね、

どんな関係なんだろう、などと客席で思いを巡らすわたし。

たまきちのこと何も知らないなあ。

そういうところが気になるくらいにときめきました今回。

最近ようやく気付いたんだけど、たまきちってなんでも出来ますねほんと。

いやなんでも出来るは言い過ぎなのかもしれないけど、

激情のあの難しい歌を歌える。

高いキーをすこーんと出したり怒りをぶつけてがなったり、

っていう部分はちょっと物足りないところがあっても、

大きな破綻なく十分上手。

そしてダンスもきれいで、見せ方、魅せ方が分かるようになったのかなーという感じ。

私前回のGOLDEN JAZZで初めてたまきちのダンスを意識して見たんですよね。

アフリカンの場面、すごく踊る良いシーンだと聞いていたので、

たまきちがいるのに気付いて「...ほほう?」みたいな感じだったんですが(笑)

以前感じたような長い手足を持て余しているような物足りないダンスでなく、

力強く踊っていてびっくりしました。

歌もダンスも演技も出来て、小道具にコントラバスを与えればかっこよく弾き、

ラテンショーの掛け声をさせればオラオラ巻き舌を披露する、

なんか最近はたまきちの場面を見るたび「わあこれも出来るんだ...」と口を開けてしまう。

あと分かりやすくインパクトあったのがお衣装の着こなしがかっこよくなった気がするとこ。

体型の変化なのか補正の上達なのか、こだわりの深化なのかそれとも今回たまたま似合うのか分かんないけども、

ホセなたまきちはすごくかっこよかったのー。

パンツの幅や丈感、ジャケットの肩あたりにこれまで感じたことのあった

「着られてる感じ」が無かった気がする。

すげーときめいたのはラストの衣裳の腕まくり。

手首を見せて捲ってるシャツが絶妙なかっこよさ!

男役の手首のくるぶし好きだわーいいわー。

それからアイメイクもとてもきれいにしてて、

切れ長の目がすごくかっこよかった。

プログラムの表紙もかっこよかったしね。

カルメンの「あんたは犬、あたいは狼」のあともう一度押し倒して暗転!のところも、

アップの映像見るとすごくいい表情してて、目元が映えてるなあと。

後半見せてくる冷たい表情でちょっと三白眼になる感じもすごくセクシーだった。

まさかたまきちのことをこんなに熱く話せる日が来るとはー!

ホセ効果だけじゃないことを願う(笑)

終始偉そうだけど初めて知ったとき下級生だったんだもの。

許してたま様。