月組『ロミオとジュリエット』を観た。5 乳母の話・・・のはずがジュリエット考?
◇乳母(美穂圭子)
これまでの星・雪の乳母よりかなりコミカル。
好き嫌いは分かれそうですが、客席は沸いてたなー。
私個人としてはあそこまでしなくてよかったんじゃないかなあと・・・
外部版のハマコさん(未来優希)のが上品だったと思わされたぐらいw
ジュリエット「(パリス伯爵に)会ったことあるの?」
乳母「見かけただけ☆」
とか、
「まぁ~~~たくましいわぁ~~~~~」
とか、十分笑える脚本になっているので、今回の美穂さん(に小池氏がつけた演出)だと、
ちょっとくどいかなあと。
乳母が道化的存在の役であることは分かってるつもりだけど、
それでも宝塚でやる乳母は品良く、道化要素は物足りないぐらいでいい。
・・・とか思ってしまうw
ただ星・雪のれみちゃん(白華れみ)やコマ(沙央くらま)とは根本から性質が違うのよなー。
二人は組子だけど、美穂さんは専科。
二人に乳母役が付くのは、多くのファンにとってはびっくり配役で、どうなのかな?どうなるのかな?という空気があったけど、
美穂さんが乳母役となると「きっと素敵な歌を聞かせてくれるに違いない」と思ったファンが大半。
・・・性質の違いと、ハードルの高さの違い?(ノ∀`)
あとは美穂さんの役割としては、「若い月組を締める大人たち」っていうことかな。
これだけは、今の月組子から乳母を選ぶとなると難しいと思うから。
何にも知らない初見の人が見る分にはいいけど、
色々知ってしまったヅカヲタが見ると、舞台に見えてないものまで見てしまうからなー。
もちろんそれが邪魔になることもあれば、演出家が利用できる場合もあると思うんだけど。
・・・何が言いたいんだか支離滅裂だ。
はっきり言っちゃうと、
れみ・コマの場合は歌や演技にもう一歩な部分があっても、
・本人の立ち位置や役付きに向けるファンの目(“組替えしてすぐ同期の乳母役と”か“男役なのに女役”とか)
・組子ゆえのジュリエットへの愛情の深さ(とファンが勝手に思ってくれる)
等々で、加点されてたっていうことだな。
逆に美穂ねーさんの場合は、歌がうまくて当たり前というハードルを超え、
かつ組子でない立場としてどうアプローチするか?
というところで、よりコミカルに、道化たる部分を強調する演出になった・・・のかなあと。
まあそんなことはいいや。(・・・)
歌!美穂圭子お姉さまの乳母の歌ですよ!
一番好きだったのは2幕の「神はまだお見捨てにはならない」でした。
神父様とのハモりもあいまって大迫力。客席に押し出してくる力がすごい。
そのへん月組さんはちょっと物足りないとこがあるので、
よい手本であり支えでありスパイスだなあと。
逆に1幕の「あの子はあなたを愛している」は、
わあ~美穂さんをもってしてもこの歌って難しいんだなあ~と・・・。
美穂さんの元々の声域より低いところだからかなあ。
地声と裏声の切り替わるところとか、一番低いところとか、なかなか難しそうでした。
それでも魅せる工夫と貫禄で、見栄え・聞き応えは抜群でした。さすが。
あと、なぜか「れみちゃんてすげー!全然歌えてたじゃん!」と気づいたりもした。
多分美穂さんとちょっと歌声が似てたから・・・?
これまで、ジェラール・プレスギュルビック作、小池潤一郎潤色・演出のロミオとジュリエットを星・雪・外部、と見て、
このお芝居における女性の存在、っていうものがすごく好きだなーと思ってて。
ジュリエットやその母親、そして乳母といった主要な役どころはもちろん、
ロミオママ、モンタギュー・キャピュレットの女の子たち、
キャピュレット卿と「いやんっ!もう~旦那さまっ☆」とかやってる使用人の女の子に至るまで、
女性キャラがとにかく好き。
「結婚のすすめ」のナンバーの楽しさは異常w
なので、乳母が「性別:乳母」っていう感じになってしまうのは少し寂しくて。
このロミジュリにおいては、乳母の女としての部分を見たい。
という意味で、女性チームとしての楽しさがあって好きなのがれみちゃん乳母。
そして以前の記事でも書いてたけど、
ジュリエットと表情が似てて、二人が互いに呼応してる感があって好きなのがコマ乳母。
ハマコさんは迫力の乳母。体当たりでまっすぐな乳母。
うーん、彼女のジュリエットではまだまだ乳母をあしらえないなーとww
せりふが定かじゃないですが、
「お母様に伝えて。お父様に逆らったことを反省し、懺悔に行くと。」って、ジュリエットが嘘を付くとこ。
あんな一言でハマコさんが引き下がる気がしない。
神父様と結託してジュリエットが何しに来たか把握してそうだったもん。
それをコソコソやってるわけじゃなく堂々としてるのがまた怖い、みたいなw
昆ちゃんも十分意志が強そうだったけど、
今回のちゃぴジュリエットもなかなか気が強そうで。・・・語気も荒くて(笑)
「結婚について何か知っているとでも言うのっっ!?!?!?」って言いながら乳母をガクガク揺すってそうな勢いww
そんなちゃぴジュリでもハマコさんは手ごわそう。
・・・見てみたいなあ、ちゃぴジュリ・ハマコ乳母!
幼いころからバトる二人の戦記になりそうだけどww
対して美穂さん乳母は、正直なに考えてるかわからんかった。
しかしそれが怖い。
多分ちゃぴジュリみたいな猪突猛進そうな子にとって、一番めんどくさい存在。
ちゃぴがいくらストレートのパンチを打ってもすかしてくるみたいな。
ハマコさんだったらがっつりボディで受けてからの右ストレートが飛んできそうなところを、
すいっすいっと避けて、気づくと文字通り懐に入ってきてる、みたいな。
大人ってわかんねー!めんどくせーうぜー!みたいな。
気になったのが「良く考えてみれば、追放になったロミオより、パリス様と一緒になったほうがあなたにとって幸せですよ」のところ、
「良く考えてみれば」が超すっとぼけててwそれがまた腹立つんだー。
ほんとに考えたの?最初から思ってたんじゃないの?
こうなること分かってて私を泳がせてたんじゃないのムキー!!!
ってなるわ私なら。
小さいころはママ大好き!パパ大好き!ばあや大好き!だったちゃぴジュリが、
もう誰も信じられない、味方はいないと悟って、
それでもなおヒステリックにならないのが好きだなあ。
大人たちはみんな私やロミオと違う考え方をしてるけど、
それでもそういう大人たちによってこの世界は廻っているのだと静かに気づいたような雰囲気。
上の「お母様に伝えて。お父様に逆らったことを反省し、懺悔に行くと。」のせりふ、
演者の個性が出るなあと思うんですよね。超楽しい。
ねねジュリは嘘をつきなれているw
小さな嘘も、これまで彼女がヴェローナのキャピュレット家で生きていくには、
多分必要な手段だったんだろう。
生まれたその日から16年間、親に逆らったことはなくとも乳母に小さい嘘をついたことはあったに違いない。
ただ乳母を易々と攻略してしまったからこそ、悩まず神父様のところに来られてしまうというw
だからこそ、神父様に「お前はどうなんだ?」って本心を聞かれるところが良いなあと。
みみジュリは、一歩足を踏み出してみた!って感じかなあ。
いつも同調してくれる乳母が今回はそうじゃなかった、
状況を打開するには?→自分が動いてみよう!みたいな。
だから神父様のところへは、とりあえず来てみたんですけど私どうしたらいいんでしょう、っていう感じ。
一番歌詞のイメージそのままっぽいのかな私の中では。
ちゃぴジュリは、多分すでに乳母の存在は見えてないw
乳母に嘘をつく、っていうのはハードルとして数えられてないみたい。
そこはもう飛び越えて、神父様!今後どうすれば私たちが生きていけるか具体案を教えて!って感じw
ちゃぴジュリは神父様のところに救いを求めてすがりにいったわけじゃない。
ただただ自分とロミオとの明るい未来だけを思い描いて、
それを実現する方法を問うのに適切な人のところに行ったんだ。
あれ、ジュリエットの話になっちゃってた・・・